Heart View 26巻1号 (2022年1月発行)

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特集　心不全治療のアップデート

企画にあたって坂田　泰史 26巻1号 , 2022年1月 , pp.3-3

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診る1

心不全の世界共通定義と分類筒井　裕之 26巻1号 , 2022年1月 , pp.4-10

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心不全には世界共通の定義がなく，日米欧のガイドラインにおいてもばらつきがみられており，世界レベルでの標準化が必要である。また，心不全の予防および治療戦略の進歩により，心不全の分類も明確化する必要がある。

診る2

BNPの診断意義をもう一度学び直す猪又　孝元 26巻1号 , 2022年1月 , pp.11-16

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多くの医療者が急増する心不全へ対応する時代となり，バイオマーカーという至便な診断ツールとして脳性（B型）ナトリウム利尿ペプチド（BNP）が普及した。本稿では，ヨーロッパからの提言などを踏まえ，現時点でのBNP活用の基本姿勢をまとめる。

診る3

心不全診療における心エコー図法の新たな知見山本　昌良 , 石津　智子 26巻1号 , 2022年1月 , pp.17-22

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心エコー図法において近年，さまざまな新技術が臨床応用されている。また新たな分野として注目されている腫瘍循環器学においても，心エコー図法は重要な役割を果たしている。本稿では，心不全診療における心エコー図法の最近の知見について概説する。

診る4

二次性心筋症の早期診断髙潮　征爾 , 辻田　賢一 26巻1号 , 2022年1月 , pp.23-29

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二次性心筋症は疾患により病態や治療，予後が異なり，通常の心不全治療に加えて，疾患特異的な治療により予後改善が期待される。しかしその治療目的は主として病態進行の抑制であることから，早期診断・早期治療が予後改善に重要である。早期診断のためには，まず典型的な二次性心筋症の病歴と徴候を理解し，診断に直結する検査が必要と判断できるかが重要である。

診る5

【Expertise】心筋症ゲノム医療による精密医療野村　征太郎 26巻1号 , 2022年1月 , pp.30-37

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心筋症の原因が遺伝子変異であることが明らかとなって30年の年月が経ち，個々の患者の発症要因に基づいたゲノム医療が始まろうとしている。本稿では，心筋症ゲノム医療を進めていくうえで現時点での知見をまとめるとともに，分子病態に基づいた最適な治療法開発や人工知能（AI）と統合した高精度な層別化に向けて，今後の将来展望についても議論したい。

識る6

HFpEFの理解はいまどこまで進んでいるか？山本　一博 26巻1号 , 2022年1月 , pp.38-43

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左室駆出率の保たれた心不全（HFpEF）は心不全患者の約半数を占め，その予後は不良である。この病態に対する認識が広まって20年近くなるが，いまだ有効な治療方針が示されていない。その最大の理由は，われわれがHFpEFをいまだ“識らない”からである。本稿では，現在HFpEFについてどこまで明らかとすることができているのか，概説したい。

識る7

左室駆出率のtrajectoryから心不全を考える大谷　朋仁 26巻1号 , 2022年1月 , pp.44-50

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左室駆出率（LVEF）は心不全の分類で頻用されるが，経過中に悪化する例とリバース・リモデリングとよばれる改善する例があり，病態や予後と関連することからその経時的変化（trajectory）が近年注目されている。

識る8

画像検査から読み解く糖尿病と心不全の関係三浦　弘之 26巻1号 , 2022年1月 , pp.52-57

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糖尿病と心不全は相互にその発症率増加に関連していることが示唆されており，心不全において，糖尿病合併は予後不良因子であることも示されている。本稿では，糖尿病が心臓に与える影響に関して，ヒトを対象とした心臓画像検査を用いた研究を中心に解説する。

識る9

循環器内科医が知っておくべきCOVID-19の心血管系への影響岸　拓弥 26巻1号 , 2022年1月 , pp.58-61

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Coronavirus disease 2019（COVID-19）による死亡や予後悪化に循環器疾患は深く関わっている。本稿では，循環器内科医が知っておくべきCOVID-19の心血管系への影響について概説する。

識る10

【Expertise】疾患iPS細胞を用いた心筋症個別化医療へのアプローチ肥後　修一朗 26巻1号 , 2022年1月 , pp.62-67

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拡張型心筋症は多様な疾患であり，薬物治療により心機能が改善する症例が存在する一方，治療抵抗性で早期に重症化する難治性心筋症が存在する。本疾患の克服には，個々の症例の層別化と，分子基盤に根差した病態解明，治療アプローチが必要である。

治す11

神経体液性因子抑制の新しい展開－ARNIおよび新世代MRA－桑原　宏一郎 26巻1号 , 2022年1月 , pp.68-74

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従来，左室駆出率の低下した心不全（HFrEF）に対しては，アンジオテンシン変換酵素（ACE）阻害薬あるいは認容性がなければアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬（ARB），β遮断薬，ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬（MRA）の3クラスの薬剤がその予後改善効果から使用が推奨され，慢性心不全治療におけるこれら神経体液性因子の過剰な活性化抑制の重要性が認識されてきた。近年，神経体液性因子に対する新規作用機序を有する心不全治療薬として，アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬（ARNI；サクビトリルバルサルタン）の有用性が示された。加えて，従来より慢性心不全に使用されてきたMRAに関しても新世代のMRA開発が進んでいる。本稿では，心不全治療におけるこれら神経体液性因子阻害の新しい展開について概説する。

治す12

SGLT2阻害薬による心不全予防と治療田中　敦史 , 野出　孝一 26巻1号 , 2022年1月 , pp.75-80

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SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管に作用し，尿糖排泄を増加させる糖尿病治療薬である。2015年以降に相次いで報告された心血管アウトカム試験の結果，心不全に対する予防・治療効果が明らかとなり，同薬剤のポジショニングは近年大きな変遷を遂げている。

治す13

【Expertise】心不全におけるcGMP-PKGシグナルとベルイシグアト中村　峻 , 沼田　玄理 , 瀧本　英樹 26巻1号 , 2022年1月 , pp.81-87

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近年，心不全の新たな治療ターゲットとしてcGMP-PKGシグナル経路が注目されている。本稿では，心不全の発症・進展におけるcGMP-PKGシグナルの関与について概説し，同シグナルを活性化するsGC刺激薬であるベルイシグアトに関する最新の知見について解説する。

治す14

心房細動合併心不全の治療におけるAFアブレーションの位置付け井上　耕一 26巻1号 , 2022年1月 , pp.88-94

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心不全（HF）において，心房細動（AF）はしばしば合併する不整脈である。AFにより心不全が急性増悪するケースや，心疾患がなかったケースが急性心不全となるケースはよく経験される。近年，カテーテルアブレーションがこれらの症例の予後を改善するエビデンスが示されており，本稿で紹介する。

治す15

心不全を伴う僧帽弁閉鎖不全症治療におけるTEERの役割と功罪：ハイブリッド外科医の視点から田端　実 26巻1号 , 2022年1月 , pp.95-98

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経皮的僧帽弁接合不全修復術（TEER）は，僧帽弁手術や内科的治療とともに僧帽弁閉鎖不全症（MR）の治療の一角を担う存在になっている。本稿では，僧帽弁手術とTEERの両方を行うハイブリッド外科医の立場から，TEERの役割と功罪について述べる。

治す16

【Expertise】ついに始まったDestination therapy 絹川　弘一郎 26巻1号 , 2022年1月 , pp.99-105

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長らく保険適用が議論されてきた，移植適応外の植込み型補助人工心臓治療destination therapy（DT）が2021年に承認され，わが国においても導入された。本稿では簡単な経緯とその実施基準につき，概説する。

連載　心臓の解剖【知っておきたい知識－疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学－】

第10回

下大静脈の基本構造と疾患井川　修 26巻1号 , 2022年1月 , pp.106-112

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●下大静脈（IVC）は，右卵黄嚢静脈より形成される。

●IVCは，右房（RA）の大静脈洞に連続しその境界は明瞭である。

●IVCに，RAの大静脈洞から心筋鞘（myocardial sleeve）の伸展はみられない［注：上大静脈（SVC）には，その伸展がみられる］。

●IVCは，第8胸椎のレベルで横隔膜（D）右側後方にある大静脈孔を通過し，RAに接続する。

●IVC−RA接合部は，右後側方でDを越え上方に伸展する。D上方のIVC（右後側壁）は胸膜で覆われている。

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目次 26巻1号 , 2022年1月 , pp.2-2

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次号予告／バックナンバー 26巻1号 , 2022年1月 , pp.116-116

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奥付 26巻1号 , 2022年1月 , pp.117-117

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基本情報

Heart View
26巻1号
(2022年1月発行)

電子版ISSN：2423-964X 印刷版ISSN：1342-6591 メジカルビュー社

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