臨床検査 65巻3号 (2021年3月)

今月の特集 臨地実習生を迎えるための手引き

河合 昭人
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 臨地実習の期間は学校によってさまざまですが,2週間程度から数カ月にわたって行われています.各施設でシラバスを作成し,実習生に指導を行っていることと思いますが,「今の指導方法でよいのか?」,「他施設ではどのように指導をしているのか?」など,臨地実習の学生を受け入れる側の悩みは尽きません.他施設でどのような教育を行っているかを知ることは,臨地実習全体のブラッシュアップになるものと考えています.

 本特集の各項目では,養成校として事前学習をどのように行っているのかを解説いただきました.また,各部門でのシラバス(なければ教育目標など)を紹介いただきました.これからの臨地実習はどうあるべきかを論じるため,また,全体として臨地実習の手引書となるよう企画をいたしました.

 新型コロナ感染症の流行の影響で臨地実習にも多少の変更が生じてきています.本特集の記載内容に加えて,各施設で感染対策などが強化されています.ご了承ください.

臨地実習に送り出す前に 奥村 伸生
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Point

●臨地実習前に技能修得到達度評価試験を行う.技能修得を確認し,不十分な学生については必要な指導を行うことで資質の向上を図る.

●3年生の後期にマナーインストラクターによるセミナーを実施するとともに,臨地実習前に詳細なガイダンスを実施する.医療安全と感染対策についても講義を行う.

●臨地実習調整者,専攻主任,助教による臨地実習全般の調整とクレーム対応・学生相談体制を構築し,実習終了後には反省と改善のための臨地実習指導者会議を実施する.

●2020年以降,養成校では11単位以上の臨地実習と臨地実習前の技能修得到達度評価実習を実施するため,カリキュラムの変更が急務である.

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Point

●採血から検体測定,結果報告までの流れを見学し,迅速報告の重要性を学習する.

●自動分析装置での検査を見学し,精度管理の重要性を理解する.

●自己血での全血放置の影響などを実習し,検査前検体の取り扱いの重要性を理解する.

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Point

●免疫血清学検査の基礎は,どのような環境下においても抗原抗体反応である.自動分析装置や用手法にどのように利用され,活用されているかを理解する.

●異好抗体や自己抗体など,反応系に干渉を及ぼすさまざまな要因が存在する.結果が正常か異常現象によるものかを理解し,対処法について学ぶ.また,感染症の結果について正しく理解する.

●自動化によって,迅速化と効率化が優先されるようになり,基礎を理解してもらう指導が難しくなった.実りある貴重な臨地実習のためには,指導者の教育を含めた,環境整備と学校との情報交換が必要である.

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Point

●臨地実習とは,実習を通じて臨床検査技師として将来への希望,目標,夢を育みながら実践的な技術を学び,次の世代を担う臨床検査技師を育成することである.

●日常業務中では時間・人材が限られているので,臨地実習生を迎えるための手引き,すなわち“臨地実習シラバス”の構築が重要である.

●臨地実習は,よりよい医療の発展の一端を担っているものと考えている.

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Point

●臨地実習の実習項目および内容については,臨床検査技師国家試験対策も視野に入れて,一般検査学担当教員と協議し決定する.

●実習内容の事前確認と予習,“やって見せる”実技指導によって実習生の習熟度が向上した.

●担当教員との協力体制を構築したことでさまざまな情報共有ができ,きめ細かい個人指導も可能となった.

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Point

●微生物学検査領域の臨地実習では材料別検査を中心に学ぶ.

●材料別検査の組み立てと工程を学ぶ.

●感染症診療のスピードに沿った結果報告を学ぶ.

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Point

●学生に対して,病院ならではの体験〔切り出し,術中迅速組織診,迅速細胞診(ROSE),病理解剖など〕をより多く経験させ,臨床現場の空気を感じてもらう.

●可能な限り実習では実技を重視することで,学生は失敗も含め実際に自分で体験ができる.このことで必要な知識が身に付き,体系的に学ぶことができる.

●臨地実習は,現場の技師が充実して働くことで病理検査の魅力が伝わるので,学生の苦手意識が払拭される絶好の機会である.

●実務と指導スキルの二本立ての研鑽ができるゆとりある人員配置と,指導側と学生双方が臨地実習しやすい環境づくりが望まれる.

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Point

●遺伝子検査は急速に広がってきているが,遺伝子検査の“操作ができる”だけでなく,正しく原理を理解しつつ検査を行うことができる検査技師の養成が重要である.

●遺伝子検査分野は検査のなかでも比較的新しい分野であり,日々,新たな技術が生み出されている.新たな知識の獲得にも積極的な姿勢で臨まなければならない.

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Point

●臨地実習の現状問題として,実習期間や実習内容の統一が必要である.

●一定の検査件数をこなしながら学生を指導することには限界がある.

●2020年に,臨地実習における単位数の変更や実習のあり方についての改正内容が報告された.

●今後,臨地実習施設として求められる指導内容を考えて実習を行う必要がある.

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Point

●大学から定められている臨地実習の目的に従って,病院機能評価の検査部に関わる要求事項や,学生の要望などにも応えられる臨地実習を目指している.

●ISO 15189の標準作業手順書(SOP)に準じた実習によって国際標準の臨床を学ぶ.

●精度管理の実施,パニック値(緊急連絡値)の対応など,新しく生理機能検査に求められている業務内容についても学べるように工夫している.

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Point

●臨床検査技師に不可欠な“検査結果に対して適切な追加検査や原因を追及する能力:課題解決力”を養うことを目指して臨地実習に取り組んでいる.

●一方通行になりがちな講義形式ではなく,質問を重ねて学生自身が考察・発言することを重視した双方向型実習をデザインしている.

●臨地実習の効果判定に用いた実力確認テスト(過去の国家試験問題)では,正答率平均が実習前の73%から実習後は88%に上昇した.

これからの臨地実習 三村 邦裕
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Point

●臨地実習は臨床検査技師教育の要である.

●指定規則の改正で臨地実習は大きく変わる.

●次世代の臨床検査を担う人材を育成するという大きな視野での教育が必要である.

認定・資格取得でスキルを磨こう・8

認定救急検査技師 後藤 寛昭
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資格の概要

 認定救急検査技師制度は,救急診療において共通の基準で臨床現場に即した迅速な検査結果を提供し,救急医療に特化した臨床検査技師の育成ならびに安全性を担保する知識と技術の普及を目指して誕生しました.2012年に日本救急検査技師認定機構が設立されるとともに運用が始まり,2016年からは日臨技認定センターで管理されています.

 認定救急検査技師には,救急診療の情報を把握・解析し,救急患者に対して現状の検査機器を有効に用い,安全・迅速・円滑・適切な検査ができる知識や技術が求められます.また,経験や知識を積み重ねることにより,救急診療に従事する検査技師を地域や自施設の区別なく指導・育成していく体制づくりも視野に入れて活動しています(表1).

INFORMATION

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目次

次号予告

あとがき 河合 昭人
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 まだ寒さが身に染みる季節ですが,春が来ない年はないと言われていますので,しばしの我慢です.

 さて,唐突ですが,皆さんの働かれている職場の会議事情はどうでしょうか.かつては,「17時に第3会議室に集合してください」のようなメールがきて,集合して会議をしていた方がほとんどだと思います.しかし,この1年で大きく様変わりしてしまいました.そうです,Zoomの登場です.わが国に黒船が到来したときのように,アラフィフ世代は動揺が隠せなかったのではないでしょうか.Zoomってなんだ? 私は,コンピューターの扱いは人並みにできるものと思っていました.しかし,私にとってもZoomは縁もゆかりもない言葉でした.写真を大きくしたりするアプリの名前かいな〜? なんて思っていました.

基本情報

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臨床検査
65巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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