作業療法 23巻1号 (2004年2月)

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要旨:片麻痺上肢に対する促通反復療法の効果を検討する目的で,脳卒中片麻痺患者12名を対象に,麻痺側上肢へ作業療法に加えて随意運動の促通と反復からなる促通反復療法を追加した.促通反復療法はPNFを利用した数種類の運動促通と,川平が考案した手指に対する促通手技を100回ずつ実施した.治験期間中継続して実施した通常の作業療法(ワイピング,巧緻動作訓練等)に追加して,促通反復療法を2週間毎に2週間併用し,評価は2週間毎に上肢グレード,手指グレード,簡易上肢機能検査を行った.

 簡易上肢機能検査での初回の通常の作業療法期間を除いて,全ての評価項目において促通反復療法併用期間のみに有意な改善を示し,有効性が示された.

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要旨:本研究は,全人工股関節置換術後の靴下着脱動作訓練プログラムを術前から立案するために,我々が過去に調査した結果をまとめたものである.我々の調査では,靴下着脱動作に必要な股関節の関節可動域(ROM)は,屈曲平均83.5°,外転平均27.7°,外旋平均33.3°であった.また,指極(両肩関節外転90°位での中指間距離)が身長より4cm以上長い患者では,平均値以下のROMにて動作が可能となることが多く,短いものほどROMが増大する傾向が認められ,とくに外旋角度の増大が認められた.以上の結果をもとに,術前の動作方法,股関節ROM,身長,指極から術後の靴下着脱動作が予測可能となり,訓練プログラムの立案が可能となった.

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要旨:48人の対象者(26人の左片麻痺患者)に対し,線分二等分テスト,線分抹消テスト,写字テストの検査を実施した.それぞれの検査課題は2種類の異なるサイズのテスト用紙を用い,交互に遂行させた.各課題成績の変動性を中心として検討した結果,正常範囲にある左片麻痺患者中に,線分二等分テスト初回試行の等分点正常範囲からの逸脱パターンが観察された.用紙サイズの直接的な影響は明確にならなかったが,半側無視では先行刺激大,小の交互変換の影響を受けることが推察された.今回の検査デザインは,従来の線分二等分テストでは潜在化した左半側無視の症状を捉えるものとして有益と考えられた.

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要旨:作業療法で入浴訓練実施後,病院内に設置した家庭用浴槽で実際に入浴した脳卒中片麻痺者23名を対象に,浴槽で立ち上がる動作と浴槽縁をまたぐ動作を観察した.結果,立ち上がる動作とまたぐ動作ともに,障害の程度に応じて動作様式が各々3分類できた.麻痺が中等度の症例でも,浴槽の内側に背中を押し付け健側下肢で立ち上がれる者や,浴槽の縁に腰を下ろして麻痺側下肢を健側上肢で引き上げられる者は入浴可能であった.即ち,立位,座位が動的に安定し健側で支持できる者は入浴可能であり,麻痺側の障害の程度にかかわらず,バランス能力や下肢筋力を改善させ早期に入浴動作訓練を開始することが,自宅復帰に向けて重要であると示唆された.

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要旨:本報告は当院における痴呆性高齢者に対する集団レクプログラムを変更し,変更後1年間の経過から隊形の重要性と,身体機能へのアプローチの効用と限界について考察したものである.集団レクの隊形はU字形,円形,四角形にした.U字形ではゲームを中央で行い,他者から注目される場面を作り出した.円形では参加者を15名程度にしたため,共有性を引き出せた.四角形では痴呆症状が重度化した参加者に対し1対1で関わった結果,表情や発語などの反応を引き出せた.身体機能にもアプローチしたが,集団レク場面で引き出した身体能力をADLに結びつけることはできなかった.今後の課題には病棟との連携が挙げられた.

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要旨:痴呆性高齢者グループホームで,作業療法士が入居者評価を通した関わりを経験する機会を得た.入居者評価には,標準化された評価法HDS-R,FIM,Assessment of Motorand Process Skills(以下AMPS)1)を中心に用いた.その結果,本グループホームおいては,AMPSに基づく作業療法士の客観的な日常作業遂行上の質の提示とADL/APDL遂行能力中心とした判断が,特に入居者への介護方法,ケアプラン立案および施設管理に有用であることがわかった.作業遂行評価を行うことにより,作業療法士の入居者評価を通したグループホームへの関わりは,効果的となると考えられた.

基本情報

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作業療法
23巻1号 (2004年2月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0289-4920 日本作業療法士協会

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