関節外科　基礎と臨床 42巻1号 (2023年1月発行)

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特集　成人期足部変形矯正の極意

introduction 田中　康仁 42巻1号 , 2023年1月 , pp.5-5

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成人期凹足変形の診断城戸　優充 , 生駒　和也 42巻1号 , 2023年1月 , pp.6-12

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凹足変形は，定義や診断基準が不明確である。成人期凹足変形（adult acquired cavus foot deformity；AACD）も，多数の病因によって変形が多様になることも相まって，診断が困難になる。本稿では，AACDの一般的な定義，病因，病態，診断について，ある程度コンセンサスの得られている知見を示す。また，当科で行っている診断方法を説明する。

成人期凹足変形に対する手術治療生駒　和也 , 牧　昌弘 , 城戸　優充 , 外園　泰崇 , 小林　裕美子 , 大橋　鈴世 , 高橋　謙治 42巻1号 , 2023年1月 , pp.13-20

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成人期凹足変形（adult acquired cavus foot deformity；AACD）は，多数の病因によって成人期以降に生じる足部・足関節変形である。病因，患者によって変形は多様である。従って，AACDに対する手術治療は軟部組織手術から後足部，中足部の骨切り術，関節固定術などの骨性矯正手術まで幅広く報告されている。患者ごとに足部変形を包括的に評価し，手術計画を立てることが重要である。

成人期凹足変形に対する中足部V字骨切り術によるアライメント矯正吉本　憲生 , 野口　昌彦 42巻1号 , 2023年1月 , pp.21-25

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可撓性のない成人期凹足変形は，変形が重度のため矯正が難しい症例も多く，手術の難易度も高い。中足部V字骨切りの歴史は古く，重度の変形に対しても適応できる矯正力の高い術式であり，良好な術後成績も多数報告されている。本稿では，中足部V字骨切りの適応，手術手技，当院での成績を述べる。

創外固定法を用いた重度足部変形の治療高田　宗知 , 土屋　弘行 42巻1号 , 2023年1月 , pp.26-36

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創外固定法を用いることで，重度の足部変形に対して3次元的な矯正が低侵襲に可能となる。適応となる疾患と足部へのリングの装着方法，治療の流れ，合併症などについて述べる。

成人期麻痺性内反足に対する手術治療渡邉　英明 42巻1号 , 2023年1月 , pp.37-43

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成人期の麻痺性内反足の手術は，内反足がrigidであるかflexibleであるか，運動麻痺レベルが上位であるか下位であるか，筋力が残存しているか筋の拘縮があるかで手術法が違ってくるため，その見極めが重要である。距腿関節に変形性関節症があるrigid equinovarusでは，踵骨の内反と距腿関節面の傾きを改善するために足3関節固定術を考える必要がある。

先天性内反足の成人期遺残変形に対する手術的治療町田　治郎 , 大庭　真俊 , 百瀬　たか子 , 中村　直行 42巻1号 , 2023年1月 , pp.44-49

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先天性内反足の未治療または保存療法後の遺残変形に対しては，距踵関節を解離しない後内側解離術を行っている。Cincinnati皮切ではなく後内側皮切を用いるので成人でも可能である。軟部組織解離術後の変形では内側の癒着が強いため，後方解離，踵立方関節固定，状況により前脛骨筋腱外方移行術を行う。放置された最重症例ではまれに距骨摘出術を要することもある。

関節リウマチによる足部・足関節変形の手術矢野　紘一郎 42巻1号 , 2023年1月 , pp.50-59

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関節リウマチ（rheumatoid arthritis；RA）の治療が著しく進歩した現代においても，足部・足関節障害に悩む患者は多い。RA関連手術件数自体は減少傾向にあるが，RA足部・足関節の手術のみが経年的に増加傾向にある。これは，手術に対する患者のニーズの変化，日常臨床における足部障害の発見および治療介入の遅れ，そして手術技術の進歩などが理由として考えられる。本稿では，前足部変形に対する関節温存手術，後足部変形に対する人工関節置換術を中心に述べる。

神経病性関節症（Charcot関節症）による足部変形の治療菊池　恭太 , 高田　研 42巻1号 , 2023年1月 , pp.60-71

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Charcot関節症（Charcot neuroarthropathy；CN）の病態を理解し，適切な診断と治療および治療後のリスク管理を行うことが重要である。CNにおいて足部変形は必発である。足部・足関節におけるCNの特徴を理解し，CN患者が足部変形を最小限にとどめて歩行維持していくための治療戦略を解説する。

成人期扁平足変形の診断秋山　唯 , 仁木　久照 42巻1号 , 2023年1月 , pp.72-79

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足のアーチ構造が破綻し，土踏まずが消失したものを総称して扁平足（flat foot）という。一般的に小児期，思春期および成人期に分けられ，成人期扁平足（adult acquired flatfoot deformity；AAFD）の病因はさまざまである。本稿では，成人期扁平足の診断，評価および近年注目されているprogressive collapsing foot deformity（PCFD）の概念と今後の課題について述べる。

成人期扁平足に対する変形矯正の考え方小久保　哲郎 42巻1号 , 2023年1月 , pp.81-88

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成人期扁平足は，複数の足根関節がそれぞれの程度で変形をきたしてくるため，病態が複雑である。変形矯正のためには，病態を把握して術式選択をする必要がある。また，画像評価と変形の可撓性の評価が重要である。後脛骨筋腱機能不全Bluman分類と新しいprogressive collapsing foot deformity（PCFD）分類について治療方針を示した。さらに，flexibleな変形に対する踵骨骨切り術の術式と適応について詳述した。

成人期扁平足に対する踵骨延長骨切り術窪田　誠 42巻1号 , 2023年1月 , pp.89-97

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成人期扁平足に対する，踵骨延長骨切り術による外側支柱延長術の実際について詳述する。踵骨延長骨切り術では，過大な延長を避け，回外変形が残存する場合は足部内側列のrealignmentの併用を考慮する必要がある。Hintermann法は，単純な開大式楔状骨切り術であるが，十分な矯正効果を有するとともに，患者にとっても高い満足度をもたらす方法である。

成人期扁平足に対する踵立方関節での外側支柱延長術−踵立方関節延長固定術− 谷口　晃 42巻1号 , 2023年1月 , pp.98-101

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可撓性が保たれている扁平足では，外側支柱延長術が適応される。踵立方関節延長固定術は手技も容易で強い矯正力が期待できる。踵立方関節直上で腓腹神経を損傷しないよう注意しながら展開を進める。スプレッダーを用いて関節を開大させ，軟骨および軟骨下骨を掻爬し，間隙に合わせて細工した人工骨を挿入する。ロッキングプレートを用いて架橋し固定する。本稿では，踵立方関節延長固定術による外側支柱延長の手技について詳述する。

成人期扁平足に対する三関節固定術金澤　和貴 42巻1号 , 2023年1月 , pp.102-107

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成人期扁平足の原因の多くは後脛骨筋腱機能不全である。なかでもJohnson分類stage 3以後の扁平足は足部の可撓性に乏しく，保存治療に抵抗性である。よって，三関節固定術が適応されることがある。本稿では，筆者が行っている三関節固定術の術式について述べる。

原著論文

3Dプリンターを使用した先端パーツ交換式開創器・鉗子の開発とデザイン例－軽量コンパクト設計・X線透視可能－高田　秀夫 42巻1号 , 2023年1月 , pp.108-118

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3Dプリンターで作製する手術器具は，手術目的に応じたカスタマイズが可能で，radiolucentの性質を備え，安価なためディスポーザブルとしても使用できる。通常の手術時に使用している開創器と鉗子タイプの手術機器は，リング部分があるため創部の大きさに対して大き過ぎて使い勝手が悪かったり，術中イメージ使用時に骨折部が手術機器と重なって見えにくかったりと不都合なことも多かった。今回，3Dプリンターを利用して，先端パーツの交換式でリング部分がなく，透視下での視野を妨げない開創器と鉗子を作製した。

連載　話したくなる　整形外科　人物・用語ものがたり

第6回

「彼はいったい，何処の惑星からやってきたのだろう：不自由を超えたサッカー選手Garrincha」小橋　由紋子 42巻1号 , 2023年1月 , pp.120-121

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本日（11月24日）の日本は朝っぱらからアツかった！　というのも，昨夜ワールドカップサッカー日本vs. ドイツで日本が逆転勝利したためである。しかも，かつてのワールドカップアジア地区最終予選で敗れてしまった「ドーハの悲劇」と同じカタール，ドーハでである。なんだか運命を感じるような。ラグビーもそうだけど，確実に強くなっている，日本って。このエッセイが載るのは決勝戦（12月18日）の直後になるはずだけど，その後，日本チームはどこまで勝ち進んだだろう。

連載　伝わらないコトバたち

第8回

「舟状骨（手・足）」助川　浩士 42巻1号 , 2023年1月 , pp.122-122

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手と足には，手根骨と足根骨という解剖学的には短骨に分類される小さな骨の集合があります。手根骨は，8骨存在し，近位に4骨，遠位に4骨並んでいます。近位列には，橈側から舟状骨，月状骨，三角骨，豆状骨が並び，舟状骨，月状骨，三角骨は，橈骨手根関節（手関節）に関わります。豆状骨は尺側手根屈筋の種子骨であり，他の手根骨とは発生が異なり，三角骨とのみ関節を形成します。遠位列には，橈側から大菱形骨，小菱形骨，有頭骨，有鉤骨が並び，これら遠位列の骨は中手骨と手根中手関節（CM関節）をなします。

「急性腰痛症と急性腰椎症」白澤　栄樹 42巻1号 , 2023年1月 , pp.123-123

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腰痛（low back pain）」とは，腰部に存在する疼痛のことであり，腰部とは触知可能な肋骨と殿溝の間の領域を指します。腰痛の原因は，脊椎由来，神経由来，内臓由来，血管由来，心因性の5つに大別されます。そして，原因の明らかでない腰痛を非特異的腰痛と分類します。また，「急性」とは発症からの期間が4週間未満の時期であり，4週以上3カ月未満を「亜急性」，3カ月以上を「慢性」といいます。整形外科医が日常診療で最もよく経験する腰痛は，非特異的な急性腰痛であり，俗に言う“ぎっくり腰”ではないでしょうか。

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目次 42巻1号 , 2023年1月 , pp.2-3

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バックナンバー・次号予告 42巻1号 , 2023年1月 , pp.126-126

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投稿・執筆規定 42巻1号 , 2023年1月 , pp.127-127

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編集後記 42巻1号 , 2023年1月 , pp.128-128

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基本情報

関節外科　基礎と臨床
42巻1号
(2023年1月発行)

電子版ISSN：2423-9666 印刷版ISSN：0286-5394 メジカルビュー社

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