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●連載にあたって●
がんを抱える人は,治療や病状の進行に伴い,さまざまな症状とともに生活しています.痛みや消化器症状のように身体に現れるものだけでなく,不安,抑うつ,不眠,せん妄といった精神的な症状,さらには倦怠感や呼吸困難など,複数の症状が重なり合い,その人らしい生活を大きく揺さぶることも少なくありません.症状はときに生命に直結し,日々の暮らしを変化させてしまうこともあり,患者本人だけでなく,家族や周囲の人々にも影響を及ぼします.
薬物療法によって改善が期待できる症状もあれば,完全に取り除くことがむずかしく,症状と折り合いをつけながら生きていく必要がある場合もあります.だからこそ,看護師が担う,観察,緊急度の見極め,背景要因の把握,そして症状を抱えるその人の生活を支える役割は,重要であると考えています.
症状マネジメントのきっかけは,患者さんの訴えや看護師が感じた,「なんか変だな?」というちょっとした違和感を見逃ないことにかかっています.以前は本誌2022年5-6月増刊号(27巻5号)にて“患者さんからこう言われたら?”から始まる消化器症状のマネジメントについて掘り下げました.本連載では,がん看護の現場で遭遇する“なんだか気になる”多様な症状を取り上げました.具体的な訴えや観察所見を起点に,「この訴えから,まず何を考えるのか」「何をどのように確認し,どうアセスメントするのか」─判断の視点や思考過程をていねいにたどります.症状を単独でとらえるのではなく,病態,治療,生活背景,心理社会的要因を統合しながら,多職種との連携,そして看護ケアの組み立てかたを解説します.エビデンスに基づくケアに加え,臨床のエキスパートが日々の実践のなかで培ってきた思考のコツや注意すべきピットフォールも紹介し,「先輩はこう考えているのか」と実感できる内容を目指しました.
本連載が,患者さんのつらさを少しでも和らげたいという思いを抱えた看護師にとって,明日の実践につながる一助となれば幸いです.
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