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消化器は,口から飲み物や食べ物を取り込み,消化管を通って水分や栄養を消化・吸収・排泄するという生きていくために必要な,複雑な機能をもっています.それがなんらかの要因で障害されると,その人の生命を脅かすことや,著しいQOLの低下を引き起こすことがあります.薬剤で症状を改善できることもあれば,すっきり取ることは難しくそれを抱えながら過ごさねばならないこともあります.だからこそ,観察から緊急度の見極め,症状とともに生きる人を支えるといった看護の役割は非常に重要であると考えています.症状をもつ本人,家族などの周囲の人々を悩ませる消化器症状を抱える方を前にしたときに,私たち看護師はなにができるのでしょうか.
今回の特集では,基本的な知識に加え,看護のエキスパートたちがどのようにアセスメントし,ケアを一連のプロセスとして組み立てているかを学べるようにまとめました.
第Ⅰ~Ⅲ章の各論では,さまざまな訴えや観察から,その人をアセスメントするプロセス,診断が発覚した後の看護について解説しています.また単に消化器症状というものだけではなく,消化器がんに由来する症状についても含めており,広い意味での消化器の症状マネジメントの理解も深まる構成としています.
がんを抱える方の症状に関する訴えから,まずはなにを考えるのか,なにをどのように確認するのか,その人自身や多職種にどう働きかけていくのか.そして,エビデンスのあるケアに加え,先輩の匠(たくみ)の技やコツ,気をつけるべきピットフォールなどの伝授も含まれており,臨床の実践に具体的に役立てられる内容です.先輩はこう言われたら,こんな風に考えるのか,という学びがきっと得られるはずです.
第Ⅳ章の総論は,症状のアセスメントや看護を深めるための充実した知識編となっています.看護としてその症状をとらえるための基本である,口から排泄までのしくみや役割機能,幅広い症状からなにが起きているのかを見極めるための基本となるフィジカルアセスメントの極意,そして,その特徴をふまえてケアに役立てるための薬剤の知識を押さえています.
実践のエキスパートの頭の中をのぞきこみ,さらにしっかりと基礎となる知識も学べるような特集になるように編集いたしました.すっきりしない症状を抱えて生きる患者さんとともに悩む,看護師の一助になればと願っております.
2022年6月
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