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クリニカルクエスチョン(CQ)が生まれた歴史的背景
17世紀にはその原型が誕生していたとされる経腸栄養enteral nutrition(EN)は,経静脈栄養parenteral nutrition(PN)が確立されるまで,経口摂取が困難な患者に対するほぼ唯一の栄養投与手段であった1)。1960年代後半に,PNのみで長期生存が可能であった症例が報告されて以降,腸管が使用できない患者に対しても十分な栄養投与が可能となった2)。その後,1970〜1980年代には,十分なエネルギー投与が予後改善につながるという考えのもと,PNを用いた高エネルギー栄養が重症患者に対する主要な栄養戦略として広く普及した3〜5)。
一方で,PNの普及に伴い,高血糖,感染症,PN関連肝障害などの合併症が問題視されるようになった6,7)。1980年代後半から1990年代前半にかけて実施された外傷患者を対象とした無作為化比較試験(RCT)では,ENがPNと比較して感染症や合併症の発生を減少させることが報告された8〜10)。この感染症減少の機序として,ENが腸管上皮の構造および機能を維持することにより11,12),動物実験で示されていたバクテリアルトランスロケーションを抑制する可能性が指摘された13,14)。さらに,1998年に報告されたENとPNを比較するメタ解析の,重症患者のみを対象としたサブグループ解析では,PNが投与された重症患者はENよりも死亡率や合併症発生率が高い可能性が示された15)。これらの知見を背景に,“If the gut works, use it”(腸管が機能しているなら,腸管を使いなさい)という概念が広く受け入れられ,ENを優先的に使用すべきであるという考え方が普及した16)。

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