Japanese
English
特集 脊髄の梗塞と出血性疾患
脊髄の血管解剖—脊髄の梗塞と出血性疾患を理解するために
Vascular Anatomy of the Spinal Cord: A Basis for Understanding Spinal Cord Infarction and Hemorrhagic Disorder
金 恭平
1
,
平松 匡文
1
,
春間 純
1
,
杉生 憲志
1
,
田中 將太
1
Kyohei KIN
1
,
Masafumi HIRAMATSU
1
,
Jun HARUMA
1
,
Kenji SUGIU
1
,
Shota TANAKA
1
1岡山大学大学院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Okayama University Graduate School of Medicine
キーワード:
脊髄血管解剖
,
spinal cord vascular anatomy
,
脊髄梗塞
,
spinal cord infarction
,
脊髄血管奇形
,
spinal vascular malformation
Keyword:
脊髄血管解剖
,
spinal cord vascular anatomy
,
脊髄梗塞
,
spinal cord infarction
,
脊髄血管奇形
,
spinal vascular malformation
pp.912-918
発行日 2026年9月25日
Published Date 2026/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120390090912
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はじめに
脊髄は脳と比べて小さく,血管構造も微細であるため,画像検査のみで詳細な血管解剖を評価することには限界がある.また,脊椎・脊髄血管の画像所見は,脊椎脊髄外科医であっても日常診療で頻繁に接するものではなく,その解釈には一定の習熟を要する.脊髄血管障害の診断では,digital subtraction angiography(DSA),造影CT,MRIで捉えられる異常所見を評価するだけでなく,正常血管解剖の知識をもとに,画像上明瞭に描出されない血管構造や血行動態を推定しながら解釈することが重要である.
脊椎・脊髄の血管解剖は決して馴染み深いものではないが,その基本構造は系統的に理解することができる.すなわち,分節動脈から分岐した血管が神経根に沿って脊柱管内へ入り,硬膜,神経根,脊髄表面血管および脊髄実質を栄養するという分節性の構造(図 1)が各高位で反復して存在する.さらに,これらの分節血管は縦方向の吻合を介して互いに連続し,前脊髄動脈(anterior spinal artery:ASA)や後脊髄動脈(posterior spinal artery:PSA)を形成・灌流している.このような分節性と縦走性の関係を,発生学的背景と併せて理解することで,複雑にみえる脊髄血管解剖も整理しやすくなる.
正常解剖を正しく理解することは,画像所見の解釈を助け,責任血管や流出静脈の同定,病変局在の推定,さらには治療方針の決定に直結する.したがって,脊髄血管障害を診療するうえで,正常な動脈・静脈解剖の理解は不可欠である2,14).本稿では,脊髄に関与する基本的な動脈および静脈解剖について概説する.

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