Japanese
English
特集 コモンな症候に対する脊椎脊髄疾患鑑別手順
大腿部の萎縮
Thigh Muscle Atrophy
関口 兼司
1
Kenji SEKIGUCHI
1
1神戸大学大学院医学系研究科脳神経内科学
1Division of Neurology, Kobe University Graduate School of Medicine
キーワード:
大腿筋萎縮
,
thigh muscle atrophy
,
大腿神経麻痺
,
femoral nerve palsy
,
封入体筋炎
,
inclusion body myositis
Keyword:
大腿筋萎縮
,
thigh muscle atrophy
,
大腿神経麻痺
,
femoral nerve palsy
,
封入体筋炎
,
inclusion body myositis
pp.863-869
発行日 2026年8月25日
Published Date 2026/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120390080863
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はじめに
大腿部の萎縮が問題になる患者は脊椎外科外来ではあまり多くない.下肢の筋萎縮全体からみると,足趾や下腿(L5/S1・総腓骨神経領域)に局在する例が圧倒的多数を占め,大腿前面が主訴となる例はまれである.全腰椎椎間板ヘルニアのうちL3/L4以上の高位は2〜5%に過ぎず,大腿前面萎縮の原因の多くは脊椎疾患ではないことになる.腹腔内あるいは下肢関節手術における合併症の例を除くと,原因は内科的疾患も含めて多岐にわたる.そのため,大腿前面萎縮という症候は整形外科医にとってはred flagの1つであり,腰椎MRIを評価する以前に系統的な鑑別診断を行う必要がある.特に高齢者の多いわが国では,脊椎外科医が見落とすリスクが高い疾患として,封入体筋炎(inclusion body myositis:IBM)と糖尿病性筋萎縮が挙げられる.大腿部の萎縮は主訴というより,身体診察において初めて気づかれる「身体所見」であることが多い.

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