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特集 感染により生じるがんの制御と展望
Ⅲ.細菌・寄生虫感染によるがん
胃がん発症におけるピロリ菌の役割
Role of Helicobacter pylori in the development of gastric cancer
畠山 昌則
1,2,3
Hatakeyama Masanori
1,2,3
1微生物化学研究会微生物化学研究所第3生物活性研究部
2北海道大学微生物化学研究所感染がん研究センター
3東京大学
キーワード:
胃がん
,
ヘリコバクター・ピロリ
,
CagAタンパク質
,
がん遺伝子
,
がん抑制遺伝子
Keyword:
胃がん
,
ヘリコバクター・ピロリ
,
CagAタンパク質
,
がん遺伝子
,
がん抑制遺伝子
pp.336-341
発行日 2026年8月15日
Published Date 2026/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310770040336
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胃がんは全世界における臓器別がん罹患者数の第5位,臓器別がん死亡者数の第4位を占める主要ながんであり,人類に与える負荷は極めて大きい。胃がんの発症は著しい地理的偏在を示し,胃がん患者のおよそ65%が日本,中国,韓国などの東アジア諸国で発症する。よって,その発症機構解明と予防・治療法の開発は日本を含む東アジア諸国においてとりわけ大きな社会的意義を持つ。
ヒトの様々な臓器から発生する多彩ながん種のなかで,胃がんは細菌感染を起点として発症する“細菌感染がん”であるという際立った特徴を有する。胃がん発症を引き起こす細菌=Helicobacter pylori(ピロリ菌)は1983年に発見され,日本のような先進国の場合,主にピロリ菌保菌者から口-口感染を介して幼小児期に胃への感染が成立し,胃粘膜という過酷な酸性環境下で終生感染が持続する。現在,全世界で発症する胃がんの約76%1),胃がんが極めて多発するわが国では95-99%がピロリ菌感染が原因と推察されている2)。現時点で,特定のがん種と特定の細菌種の間に明確な疾患因果関係が示されているのは“胃がんとピロリ菌”のみで,その意味において胃がんはいまだに唯一の細菌感染がんである。

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