特集 わが国の司法精神療法の展望
非行・犯罪に取り組む心理療法――アタッチメントと力動の視点
工藤 晋平
1
1名古屋大学
pp.530-535
発行日 2026年8月5日
Published Date 2026/8/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52040530
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我が国の非行・犯罪への臨床的取り組みは,長い間,警察,家庭裁判所,少年鑑別所,少年院,刑務所,保護観察所といった機関,あるいはごく限られた医療機関等で行われるものであった。それらは公的機関,あるいはそれに準じるような性格を有するものであることが多く,その知見は一般に広まることもなく,他の領域との交流も少なかったと言える。
しかしながら,現代的な処遇・介入へのアップデートが迫られる中で,法律の改正,および社会の側の変化もあって,司法領域に置かれた人たちの抱える問題に取り組む現場は広がりを見せている。とりわけ,社会の中で暮らし,生きる人たちへのアプローチが増えつつあることはこの10年ほどの大きな変化であるだろう。
それでもなお,こうした問題に取り組む臨床家同士の交流は少なく,とりわけ偶然そうした患者,クライエントが訪れたという状況に遭遇した臨床家にとっては参照できる情報も,学びの場となる機会も,また意見を交わす同僚も多くはない。ここではそうした町の臨床家に向けて,司法領域の問題を抱えた人たちとの臨床的作業全般と,特に心理療法において出会い得る事態とをまとめ,それぞれの仕事の足がかりとなることを目指したい。

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