特集 老いと向きあう
家族支援と介護者教育――ちえのわnet
河合 亮
1
,
數井 裕光
2
1高知大学医学部神経精神科学講座
2高知大学医学部神経精神科学講座
pp.60-63
発行日 2026年2月5日
Published Date 2026/2/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52010060
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はじめに
認知症の人には,記憶障害や見当識障害,視空間認知障害,遂行機能障害など,さまざまな認知機能障害が生じる。加えて,焦燥,興奮,攻撃的行動,脱抑制といった行動障害や,不安,うつ,幻覚,妄想などの精神症状を伴うことも少なくない。これらの行動障害や精神症状を包括した概念は,認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:BPSD)と呼ばれている。認知症におけるBPSDは高頻度に出現し(Kazui et al, 2016),本人の生活の質を低下させるとともに,家族介護者の負担を増加させ(Allegri et al, 2007),早期の施設入所につながることもある重要な症状である(Morriss et al, 1990)。BPSDなどへの対応としては,まず音楽療法,運動療法,回想法などの非薬物療法を試みることが推奨されており,これらの方法で十分な効果が得られない場合には,薬物療法が検討される(日本神経学会,2017)。しかし,認知症の人が安心して日常生活を送るためには,こうした治療法の前提として,周囲の人々による適切な支援や対応,声掛けが必要である。認知症ちえのわnetは,認知症の人にみられる物忘れ,多様なBPSD,食事・排泄・入浴の問題などに対して,状況に応じた具体的な対応方法を紹介するウェブサイトである(https://chienowa-net.com/)。

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