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Ⅰ 運動や活動の重要性
超高齢社会のなかで,医療やケアの発展に伴い,高齢者人口はまだまだ増えることが予想されている。しかし,ただ「老いる」のではなく,なるべく健康に老いることが望まれている。加齢に伴う疾患や症状はさまざまなものがあり,原因は多様であるが,高齢者に多く見られ,治療と同時に介護・ケアが重要である一連の症状や所見のことを老年症候群(Geriatric Syndrome)という(鳥羽,2009)。代表的な症状に,せん妄,うつ,誤嚥,脱水,筋力低下,動脈硬化,骨関節変形,頻尿,便秘,不整脈,低栄養,喘鳴などが挙げられる。このような症候を認めた場合には,まずは原因を探索し,除去するよう努めるが,原因が複雑で特定し難い場合にも,対症療法を実施し,なるべく早くこれらの症状を抑え,重大な合併症に発展しないようケアすることが大切である。
しかし,対応が遅れ何らかの疾患を発症した時,精神的・身体的予備力の少ない高齢者の場合は容易に要介護に至ってしまう。厚生労働省の「国民生活基礎調査」の令和4年(厚生労働省,2022)の調査結果によると,要介護の主な原因の第1位は「認知症」が23.6%で最も多く,次いで「脳血管疾患(脳卒中)」19.0%,「骨折・転倒」13.0%となっており,要支援の主な原因の第1位は「関節疾患」が19.3%で最も多く,次いで「高齢による衰弱」17.4%,「骨折・転倒」16.1%となっている。これらの疾患や病態はいずれも老年症候群に関連しており,要介護や要支援にならないためには,認知症予防に加え,脳卒中の主要要因である生活習慣病の予防,フレイルやロコモティブシンドロームの予防につながる運動や活動が重要である。

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