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I はじめに
近年,社交不安症やパニック症などの「不安症」がメディアで取り上げられる機会が増え,社会的認知が高まりつつある。日本においても成人の不安症を対象とした認知行動療法(Cognitive Behavioural Therapy : CBT)の有効性を示す知見が増え,それに伴ってCBTを受けることのできる医療機関も増えてきているようである。一方で,不安症の「子ども」に対してはどうだろうか。実際に不安の問題を抱える子どもや保護者に話を聞くと,プレイセラピーや相談をしたことはある一方で,CBTによる支援につながったことはほとんどないという声を多く耳にする。また,医療機関で投薬のみを勧められるケースも少なくない。実際に不安症の子どもにCBTを提供している医療機関自体が非常に限られているのである。
では,他の国ではどうだろうか。英国の小学校で2017〜2018年に行われた調査によると,不安症の子どものうち,CBTを受けたことのある子どもはわずか2%であり,日本と同じような状況であった(Reardon et al., 2020)。しかし,その数年後に行われた介入研究では,不安症の子どもへの通常治療の80%がCBTであったことが報告されている(Creswell et al., 2024)。小学校での調査と医療機関での臨床試験という異なるフィールドでのデータであり単純比較はできないが,それでもCBTを受けることができている子どもの割合が増加していると推測される。この飛躍的なCBTの普及の背景にある要因としては,①治療を受ける際の負担やコスト,スティグマを考慮したCBTプログラムの開発と,②社会実装を視野に入れた研究の発展が考えられる。本稿では,英国で普及している保護者主導型CBTについて概説し,英国の事例を踏まえて日本という東アジア文化圏での普及について考えていく。
以下に架空事例を挙げる。

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