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殺人遺族のサポート・グループにおける主観的体験とその機能の検討
佐々木 健太
1
1みやぎ被害者支援センター
キーワード:
質問紙法
,
家族
,
殺人
,
死別
,
悲嘆
,
自助グループ
,
犯罪被害者
,
精神的援助
,
半構成的面接
,
グラウンデッド・セオリー・アプローチ
Keyword:
Grief
,
Family
,
Bereavement
,
Homicide
,
Self-Help Groups
,
Grounded Theory
,
Crime Victims
pp.475-484
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
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本研究では心理的困難が極めて大きい殺人遺族と,その心理的支援法としてサポート・グループ(以下,SG)に着目する。本研究は,時期を区切りながら,SGに参加する殺人遺族の主観的体験とSGの機能と課題について明らかにすることを目的とした。SGに参加する殺人遺族6名にインタビューし,グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。殺人遺族の主観的体験として,(1)SG参加によってポジティブな体験とネガティブな体験の両方があること,(2)話せる場所を見出す過程,(3)遺族間の絆の醸成の過程が示された。殺人遺族のSGの重要な機能として,(1)気持ちの共有と存在肯定,(2)事件以外の日常のことも話せる場,(3)支援者による安心感の3点が示された。これらのことからSGによる中長期の支援の意義が見出されたと考えられた。さらに運営の留意点として,中長期においては事件以外の現実的課題も話題になる,という想定が有効であると考えられた。
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