特集 緩和医療
セミナー Serious illnessと緩和ケア
心不全の緩和ケア
大石 醒悟
1
1医療法人社団まほし会真星病院循環器内科
キーワード:
▶緩和ケアは,心不全の病期全体にわたり役割があり,心不全の経過の初期に始まり,末期で強まり,介護者の死別にまで及び,そのもたらす効果も多岐にわたる.
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▶心不全の緩和ケア提供においては生命維持装置の中止のような重大な決定が治療経過の中でなされる場合があり,臨床倫理の考え方を知っておくことが望ましい.
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▶心不全患者の症状緩和が不十分であれば意思決定を行うことが困難であるとともに,患者および家族のQOLおよびQODを高度に低下させるものであり,薬物療法・非薬物療法は重要な緩和ケアの要素である.
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▶症状緩和目的の薬剤使用はガイドラインなどを参考にして適切に行っていく必要がある.
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▶精神・心理的苦痛は疾病経過とともに増悪と寛解を繰り返しながら進行するため,心のケアを考えるうえでも心不全の病期を意識することは非常に重要である.
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▶心不全患者はさまざまな喪失体験を経験しており,自己肯定感や自己効力感の低下,社会的役割の喪失などの心理社会的な苦痛を強めており,スピリチュアルペインへの介入も忘れてはならない.
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▶心不全患者にACPを行っていくうえで予後予測の困難さは大きな障壁であり,その不確実性について患者への疾患啓発と医療者への教育を要する.
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▶心不全療養指導士には病院から在宅,地域医療まで幅広く心不全患者をサポートすることが期待されている.
Keyword:
▶緩和ケアは,心不全の病期全体にわたり役割があり,心不全の経過の初期に始まり,末期で強まり,介護者の死別にまで及び,そのもたらす効果も多岐にわたる.
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▶心不全の緩和ケア提供においては生命維持装置の中止のような重大な決定が治療経過の中でなされる場合があり,臨床倫理の考え方を知っておくことが望ましい.
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▶心不全患者の症状緩和が不十分であれば意思決定を行うことが困難であるとともに,患者および家族のQOLおよびQODを高度に低下させるものであり,薬物療法・非薬物療法は重要な緩和ケアの要素である.
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▶症状緩和目的の薬剤使用はガイドラインなどを参考にして適切に行っていく必要がある.
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▶精神・心理的苦痛は疾病経過とともに増悪と寛解を繰り返しながら進行するため,心のケアを考えるうえでも心不全の病期を意識することは非常に重要である.
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▶心不全患者はさまざまな喪失体験を経験しており,自己肯定感や自己効力感の低下,社会的役割の喪失などの心理社会的な苦痛を強めており,スピリチュアルペインへの介入も忘れてはならない.
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▶心不全患者にACPを行っていくうえで予後予測の困難さは大きな障壁であり,その不確実性について患者への疾患啓発と医療者への教育を要する.
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▶心不全療養指導士には病院から在宅,地域医療まで幅広く心不全患者をサポートすることが期待されている.
pp.202-206
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.02_010
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心不全における緩和ケアの考え方
心不全は発症のリスク段階といわれる高血圧や糖尿病などのステージA,前心不全といわれ,心機能低下を認めるが心不全症状を認めないステージBを経て心不全症状が出現する段階(ステージC)に至り,適切な治療を行うことで長期にわたり増悪と寛解を繰り返しながら,徐々に進行する時期を経て,最終的に不応性心不全(refractory heart failure)といわれる状態(ステージD)に至り,死に至る経過をたどるとされる.ステージCに至り,心不全症状が出現すると,治療も強化されるが,さまざまな苦痛も増すため,緩和ケアも多面的介入として提供される(図1)1).この段階で医療者として重要なことは,適切な治療が行えているか確認すること,心不全の経過を自分事として捉えてもらえるように心不全経過を患者および家族とともに見直し,患者の抱える苦痛に合わせて緩和ケアを提供していくことである.長い心不全の経過の中における将来に向けた自発的な対話のプロセス[アドバンス・ケア・プランニングadvance care planning(ACP)]は他の進行性疾患と同様に重要となる.

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