特集 緩和医療
総説 日本の緩和ケア
これからの日本の緩和ケア
木澤 義之
1
1筑波大学医学医療系(緩和医療学)
キーワード:
▶ホスピス・緩和ケアは,その時代と社会情況に応じて,充分な手助けがなされていない重い病などをもつ人に焦点をあてて実践されてきた.
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▶わが国の緩和ケアは,がん患者を主たる対象として,がん診療拠点病院を中心に発展してきた.
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▶わが国は超高齢化社会にあり,高齢者における緩和ケアに今後力を入れていく必要がある.
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▶全死亡のうちがんによるものは1/4以下であること,がん患者の75%は拠点病院以外で死亡していることから,その普及は十分とは言えない.
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▶これからの課題として,がん以外の重い病に対する緩和ケアの体制整備があげられる.
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▶高齢者における緩和ケア,特に認知症の人に対する緩和ケアの充実,普及が重要である.
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▶専門的緩和ケアの質の向上にむけた取り組みが必要である.
Keyword:
▶ホスピス・緩和ケアは,その時代と社会情況に応じて,充分な手助けがなされていない重い病などをもつ人に焦点をあてて実践されてきた.
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▶わが国の緩和ケアは,がん患者を主たる対象として,がん診療拠点病院を中心に発展してきた.
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▶わが国は超高齢化社会にあり,高齢者における緩和ケアに今後力を入れていく必要がある.
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▶全死亡のうちがんによるものは1/4以下であること,がん患者の75%は拠点病院以外で死亡していることから,その普及は十分とは言えない.
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▶これからの課題として,がん以外の重い病に対する緩和ケアの体制整備があげられる.
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▶高齢者における緩和ケア,特に認知症の人に対する緩和ケアの充実,普及が重要である.
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▶専門的緩和ケアの質の向上にむけた取り組みが必要である.
pp.164-170
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.02_005
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はじめに
急速な高齢化に伴い,わが国は超高齢多死社会をむかえている.2024年には年間約160万人が死亡し,その7割を75歳以上が占める.推計によれば,わが国の死亡者数が160万人を超える状況は今後20年あまり続くと予想されており,すべての臨床医にとって緩和ケアを提供することは必要不可欠な能力になりつつある.わが国の緩和ケアは,がん患者を主たる対象として,がん診療拠点病院を中心に発展してきた.しかしながら,がん以外の疾患の緩和ケア,拠点病院以外の緩和ケアの普及は十分とは言えず,これから優先して取り組むべき重要な課題として,①がん診療拠点病院以外の施設や地域における緩和ケアの体制整備,②がん以外の疾患に対する緩和ケアの体制整備,③高齢者における緩和ケア(フレイルティ,多疾患併存),④緩和ケアの質の維持・向上への取り組み,があげられる.緩和ケアはいつも,その時代に光があたらず,支援が必要な人に対して提供されてきた.私たちは,自分たちの生きるこの時代をありのままに見つめて,最新のテクノロジーとこれまでの知見をもとに,平等(equality)を超えて,公正(equity)に,いつでも,どこでも,必要なときに,そして必要な人に緩和ケアを実践していく必要がある.

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