特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー① 一般集団を対象としたがん検診の最近の話題
大腸内視鏡検査のエビデンスと課題
阿部 浩一郎
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1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
▶わが国では大腸がん検診に便潜血検査が導入されているが,死亡率の減少は緩やかで,諸外国と比較して高い水準にある.
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▶大腸内視鏡検診の有効性を評価するランダム化比較対照試験が,国内外で複数実施されている.
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▶COLONPREV試験のITT解析では,大腸がん死亡率および罹患率の有意な減少は示されなかった.
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▶NordICC試験の中間報告では,ITT解析では死亡率の有意差はなかったが,罹患率には有意な減少が認められた.
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▶大腸内視鏡検診の有効性を的確に評価するためには,十分な観察期間の設定が重要である.
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▶参加率の低さは,ITT解析で効果が示されにくい要因の一つであり,検診の有効性に影響する.
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▶大腸内視鏡検査の精度には施行医や施設間でばらつきが生じる可能性があるため,継続的な精度管理が重要である.
Keyword:
▶わが国では大腸がん検診に便潜血検査が導入されているが,死亡率の減少は緩やかで,諸外国と比較して高い水準にある.
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▶大腸内視鏡検診の有効性を評価するランダム化比較対照試験が,国内外で複数実施されている.
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▶COLONPREV試験のITT解析では,大腸がん死亡率および罹患率の有意な減少は示されなかった.
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▶NordICC試験の中間報告では,ITT解析では死亡率の有意差はなかったが,罹患率には有意な減少が認められた.
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▶大腸内視鏡検診の有効性を的確に評価するためには,十分な観察期間の設定が重要である.
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▶参加率の低さは,ITT解析で効果が示されにくい要因の一つであり,検診の有効性に影響する.
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▶大腸内視鏡検査の精度には施行医や施設間でばらつきが生じる可能性があるため,継続的な精度管理が重要である.
pp.1358-1361
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_011
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はじめに
わが国では1992年より,大腸がんの対策型検診として便潜血検査免疫法(以下,免疫法)が導入されてきた.しかしながら,大腸がんによる年齢調整死亡率は男女とも緩やかな減少にとどまっており,諸外国と比較して高い水準にある1).海外では既に大腸内視鏡検診を導入している国もあり,わが国においても検診における大腸内視鏡検査の導入を要望する声が高まっている.本稿では,大腸内視鏡検診の有効性とその課題について解説する.

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