特集 大規模災害時の食と住に関する感染制御と予防衛生
6.災害発生後の中長期的な感染制御とワクチン対策
關 文緒
1
,
大槻 紀之
1
,
梁 明秀
1
1国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所呼吸器系ウイルス研究部
pp.37-43
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.09.01_0037-0043
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わが国においては近年,2011年の東日本大震災,2016年の熊本地震,2024年の能登半島地震など,大規模な地震災害が発生している.また地震に限らず洪水や,2020年初頭から数年にわたる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大といった,大規模災害も発生している.このような大規模災害時においては,平時には機能している公衆衛生上の対策が十分に機能しないことが想定される.特に,被災地域における感染症アウトブレイクは,甚大な二次的健康被害につながるため,平時より災害発生を想定した包括的なワクチン戦略を策定しておく必要がある.本稿では,過去の経験を踏まえて大規模災害時に想定される感染制御のあり方や備えについて,感染制御に重要な役割を果たすワクチンを主点に,その供給体制への影響などについて記載する(図1).また大規模災害の1つとして,COVID-19対策が実施されていた期間の予防接種実施状況についても記述する.

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