特集 新型コロナウイルス感染症UP-TO-DATE 2021
3.新型コロナウイルスワクチンアップデート
戸高 玲子
1
,
芳賀 慧
1
,
片山 和彦
2
1北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学Ⅰ・感染制御科学府ワクチン学研究室
2北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学Ⅰ・感染制御科学府ワクチン学研究室教授
pp.18-25
発行日 2021年4月30日
Published Date 2021/4/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.05.01_0018-0025
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中国武漢市で2019年12月に確認された新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)は,2004年に出現し,重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)の原因となったSARSコロナウイルスに近縁な新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって感染伝播する.WHO(世界保健機関)は2020年3月11日にSARS-CoV-2のパンデミック宣言を行い,感染拡大防止への警鐘を鳴らしたが流行は収まらず,世界的規模の流行をもたらした.予防衛生の強化,緊急事態宣言などによる都市閉鎖,既存承認薬のリポジショニング,症状緩和療法の導入などにより,感染者数のコントロールを行っているが,いまだ制圧には至っていない.2021年2月より接種がはじまったワクチンは,今後のSARS-CoV-2流行を防ぐ切り札として期待されている.しかし,現在わが国では,英国,ブラジル,南アフリカなどで検出されたSARS-CoV-2変異株が感染の拡大傾向を示し,同時に国内流行の第3波の症例数減少の下げ止まり傾向に見舞われており,ワクチンの効果を疑問視する声が聞こえはじめている.本稿では,SARS-CoV-2ワクチンの最新情報を提供し,新世代ワクチンの予想される効果などを紹介する.
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