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新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus type 2:SARS-CoV-2)のワクチンは,過去に例を見ない速度で開発が進み,接種が進む先進諸国において,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の収束に顕著な効果を発揮し始めている.わが国では,2021年2月14日にファイザー社のSARS-CoV-2のワクチンが国内で最初に承認され,2月17日より医療従事者,高齢者への接種が始まった.同年5月21日には,モデルナ社とアストラゼネカ社のワクチンが承認され,モデルナ社のワクチンについては,24日から開設された大規模接種センターなどで接種が開始された.一方,アストラゼネカ社のワクチンは,ワクチン不足に直面している台湾に6月4日無償供与され,その後,8月23日から国内接種が始まった.その間,わが国では,イギリス(アルファ株),南アフリカ(ベータ株),ブラジル(ガンマ株)などで検出されたSARS-CoV-2変異株が感染の拡大傾向を示し,その動向に注目が集まった.懸念される変異株(variant of concern:VOC)として世界的に流行したアルファ株は,第4波の流行を形成した.第4波のピークが過ぎた頃にインドで出現したデルタ株は急速に世界各地に飛び火し,わが国でも,SARS-CoV-2の流行が始まって以来最大となった第5波の流行を引き起こした.このように,複数のSARS-CoV-2変異株の登場により,これらに対するワクチンの効果を疑問視する声が聞こえ始めている.本稿では,先行導入された既存のSARS-CoV-2のワクチンの最新情報と,ワクチンに関するアップデート情報を提供するとともに,現在も承認申請を目指して開発が続く,新世代ワクチンについて紹介する.
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