特集 ノロウイルス―ウイルス性下痢症
ノロウイルス感染症
1.ノロウイルス感染症
西尾 治
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.972-976
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101200
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ノロウイルスは1997年に食中毒病因物質に加えられたことから,食中毒を起こすウイルスとの認識が強く,感染症は軽視されていた.ところが,2004年末から2005年の初めに,ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生が高齢者特別養護施設で全国的に多発し,社会的にも大問題となった.当時,ノロウイルスが聞き慣れなく,新たに出現したウイルス,殺人ウイルス如きの誤った情報が一部で言われた.ノロウイルスは約40年前に発見され,名前が新しいだけで,死亡例は極めて稀である.
2年後の2006年11月から2007年の初めに,小児科,学校,高齢者施設等でノロウイルスによる感染性胃腸炎のヒト-ヒト集団発生,および食中毒事件が全国的に多発し,共に過去最大となった1)(図1).ノロウイルスによる感染症と食中毒は表裏一体であり,両面からの対策が必要である.
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