乳癌カレントトピックス
HBOCの初期治療において考慮すべきポイント
北川 大
1
1がん研有明病院乳腺センター外科医長
pp.46-48
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.02_0046-0048
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遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)は,BRCA1およびBRCA2遺伝子の病的変異を原因として乳癌および卵巣癌(卵管癌,腹膜癌を含む)を発症する疾患群である。HBOCにおける乳癌の特徴には,若年発症,多発性(一側多発,両側性),遺伝型によってサブタイプの割合が異なることなどが挙げられる。BRCA1では約70%にER陰性,PgR陰性,HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳癌が発症する。一方,BRCA2では散発性乳癌におけるサブタイプの分布とほぼ同様である。一般的に乳癌に対する薬物療法はサブタイプごとに使用可能な薬剤が異なることはいうまでもないが,特にトリプルネガティブ乳癌に対して使用できる薬物は抗癌剤のみであるため,その副作用による身体的ダメージを考えると,化学療法が不要な病期で診断から治療まで完結できることは非常に大きなメリットとなる。本稿ではHBOC乳癌の特徴を踏まえながら,術前評価,手術療法,薬物療法に分けてHBOC乳癌の初期治療において考慮すべきポイントを述べていく。
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