臨床医のための乳腺基礎医学
遺伝子パネル ~乳癌におけるゲノム医療~
山﨑 有人
1
1東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野助教
pp.22-25
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.02_0022-0025
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本邦において乳癌の女性の年齢調整罹患率は1975年以降増加傾向にあり,悪性腫瘍のなかでも1,2位を争う。乳癌は他の悪性腫瘍と比較しても,近年の遺伝子解析技術の画期的な進歩の恩恵を最も受けている領域のひとつと考えられる。ER(estrogen receptor),PgR(progesterone receptor),HER2などのバイオマーカー検索を初めとし,各phenotypeに合わせた有効な治療法の選択が乳癌診療において鍵となることはいうまでもない。昨今,がんゲノム医療の進歩・普及により,特定の遺伝子異常を標的とした分子標的薬の開発が目覚ましい発展を遂げ,本邦でもこれら各症例に合わせた個別化医療,precision medicineが注目されてきている。近日中にはがんゲノム遺伝子パネル検査の保険適応の実現が見込まれるなか,本稿では乳癌領域における遺伝子パネル検査のこれまでの実績,がんゲノム医療の現状,そして今後展開されるであろう,がんゲノム医療新時代への課題について概説する。
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