薬物療法マネージメントのこつ
妊孕性温存(fertility preservation)
仁尾 万里華
1
1京都大学医学部附属病院乳腺外科
pp.49-52
発行日 2015年3月31日
Published Date 2015/3/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.01.01_0049-0052
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「1 加齢に伴い不妊リスクも上昇,癌治療がさらに妊娠を困難にする」若年性乳癌では,長期の内分泌療法や抗がん薬の卵巣毒性が,妊孕性を低下させます。妊孕性低下の主なリスク因子は,卵巣や卵胞に直接障害を与える抗がん薬(特にシクロホスファミド)と年齢です(表1)。一般的に妊孕性は30代,特に後半から急激に低下し,流産リスクも上昇します。化学療法後に月経維持・再開した場合でも,妊娠可能期間は短縮されます。最近,月経周期での変動を受けずに残存卵子数を予測できる血清抗ミュラー管ホルモン(anti mullerian hormone:AMH)が注目されています。十分なエビデンスはありませんが,治療前AMH値が化学療法後の卵巣予備力の予測として,個々の妊孕性温存療法を検討するうえでの有用な指標のひとつと考えられます。
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