若手ドクターの広場
アディクション分野における行政のかかわり方と今後の可能性について
松口 和憲
1
1国立病院機構肥前精神医療センター
pp.42-43
発行日 2022年7月30日
Published Date 2022/7/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.10.02_0042-0043
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私がアディクションの分野に興味をもったのは前期研修医として,沖縄県立宮古病院救命科にいたときのことであった。宮古病院にくる前も大学病院の救急外来(emergency room:ER)で学生が急性アルコール中毒で搬送されたり,アルコール依存症にうつ病を合併して自殺企図に至る事例をみたことがあったが,正直なところ,当時はアディクションの分野に興味をもつほどの衝撃はなかった。夫婦ともにアルコール依存症であり,ある日,夫が離脱せん妄を起こして救急搬送されたが,そのとき同乗していた妻も同じく救急車内でせん妄を起こして仲良く搬送された事例。また,飲酒後に車道で寝てしまい,車に轢かれて搬送。その後退院としたが,退院直後にまた飲酒し,車道で寝て車に轢かれ(しかも轢かれた場所も全く同じ場所であった),ベッド上で望まない再会を果たした事例。まだまだ医師として駆け出しであった私にとって,宮古病院でみた彼らはまさに衝撃的であった。その経験から「依存症になってしまう人とならない人はなにが違うのか?なぜ彼らは繰り返してしまうのか?」と次第にアディクションの分野に興味をもつようになっていった。
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