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第21回関西アルコール関連問題学会 和歌山大会
pp.98-102
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.03.02_0098-0102
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(座長)辻本士郎先生(医療法人東布施辻本クリニック院長)「アルコール依存症の概念の萌芽」アルコール依存症の概念は古く、古代ローマ時代に学者セネカが、酔っ払いには「ワインを飲んで自分自身をコントロールできなくなった人間」と「酔うことが習慣になり、その習慣の奴隷となった人間」の2つの意味があると言っている。日本では「病双紙」という書物に、平安時代に描かれた「小法師の幻覚を生ずる男」という振戦せん妄の様子が掲載されている。一方で、医学の世界でアルコール関連障害が取り上げられるようになったのは最近のことで、慢性アルコール中毒という概念が提示されたのは1849年にストックホルム大学のマグヌス・フスという内科学の教授によってであった。慢性飲酒者の神経系の症状に注目し、「長年の過剰飲酒の結果としての情動障害や痴呆などの精神症状と、末梢神経障害やけいれんなどの神経症状がさらなる飲酒によって慢性進行性に憎悪していく病態」と示した。この概念は、その後ドイツ語に翻訳されたとたんにアルコールに関連する異常酩酊や乱用、依存症、中毒(後遺障害)、身体障害・精神障害などが入れ込まれて拡大した。
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