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2023年2月に『日本眼科学会雑誌』に『マイボーム腺機能不全診療ガイドライン』が掲載された1)。これはマイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)の診療に関係する医療関係者,患者を対象として,MGDの診療をサポートすることを目的として作成されたものである。MGDはさまざまな原因によってマイボーム腺の機能がびまん性に異常をきたし,慢性の眼不快感を起こす瞼の疾患である。マイボーム腺分泌物(meibum)が涙液の油層を形成することから,MGDを原因として涙液の疾患であるドライアイが発生し,ドライアイに伴う眼乾燥感,眼疲労感などの症状も起きる。国内の疫学調査では50歳以上の日本人の10〜30%程度がMGDであることが示されていて,MGDは多くの人々のquality of life(QOL)を低下させる臨床的に重要な疾患である。MGDの診療をサポートする報告としては,2010年に国内でMGDワーキンググループがMGDの定義,分類,診断基準を発表し2),広く使われてきたが,包括的な内容ではなかった。海外では2011年にThe International Workshop on Meibomian Gland DysfunctionがMGDに関する知見を包括的に報告したが3),authority-basedなものであった。今回,evidence-basedで包括的な内容をもつMGD診療ガイドラインをはじめて作成した。こうしたものは世界でもはじめてなので,世界へ発信するために英語版も作成し,近々お披露目する予定である。本稿では,100ページを超える大作であるMGD診療ガイドラインの内容のエッセンスを簡略化したかたちにまとめてみた。もちろん,より詳細な内容をみたいという先生方は是非ガイドラインの本文に当たっていただきたいと思う。
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