連載 ドライアイ外来最前線
順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科涙道・ドライアイ外来
猪俣 武範
1
1順天堂大学医学部眼科学教室准教授/順天堂大学大学院共同研究戦略的手術室改善マネジメント講座/順天堂医院病院機能管理学
pp.60-63
発行日 2019年11月8日
Published Date 2019/11/8
DOI https://doi.org/10.34449/J0042.14.02_0060-0063
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ドライアイはわが国で2,000万人以上が罹患する最も多い眼疾患の一つであり,超高齢社会やデジタル作業の増加などにより今後も増加が予想されています。ドライアイによる眼不快感,眼乾燥感,自覚視力の低下などの多様な症状による視覚の質の低下や作業効率の低下による経済損失が問題となっています。しかし,ドライアイに対する加療はいまだに点眼による対症療法が主体であり,完治する治療方法は存在せず人生の長期にわたり生活の質の低下を引き起こします。そのため,ドライアイの発症や重症化を未然に防ぐ予防医療や先制医療が重要となります。ドライアイの発症要因は,湿度,花粉,PM2.5などの外的因子,食事・喫煙・運動・コンタクトレンズの装用などの生活習慣,加齢・性別(女性)・家族歴など,さまざまです。これらの発症要因は多因子かつ複合的ですが,これまで個々人にとって最適化された医療は提供されておらず,画一的ともいえる点眼加療が行われてきました。また,ドライアイの自覚症状は,乾燥感のみならず,羞明,眼精疲労,視力の低下など多岐にわたるため,不定愁訴とされ治療が行われないまま見逃される場合もありました。そこで,当外来では個々人のドライアイの自覚症状や生活習慣に着目し,ドライアイに対する予防医療・個別化医療を目的とした診察を行っています。
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