ドライアイベストリサーチアワード受賞論文解説
PAX6はヒト角膜上皮の生物学的特徴を制御している
北澤 耕司
1
1京都府立医科大学視覚機能再生外科学併任助教
キーワード:
PAX6
,
転写因子
,
角膜上皮
,
角化
Keyword:
PAX6
,
転写因子
,
角膜上皮
,
角化
pp.28-30
発行日 2019年4月29日
Published Date 2019/4/29
DOI https://doi.org/10.34449/J0042.14.01_0028-0030
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PAX6は眼のマスター遺伝子であることが以前から知られている。例えば,PAX6-/-マウスでは眼球そのものが形成されなくなり1),一方でPAX6を強制的に発現させると異所性に眼球ができる2)。また,PAX6+/-では小眼球となり,PAX6の遺伝子異常によって生じるアニリジア3)では,黄斑低形成,無虹彩,緑内障,脈絡膜欠損などの様々な眼所見を呈する。アニリジアでは網膜や虹彩の異常だけでなく,palisades of Vogt(POV)の消失,結膜上皮の侵入など角膜上皮幹細胞疲弊症としての所見も呈する。発生学的に,眼表面におけるPAX6発現細胞と非発現細胞は眼瞼縁の外側と内側ではっきりと区別されており,PAX6が眼表面における細胞分化に寄与する可能性を示唆する4)。今回,PAX6が角膜上皮細胞の分化にどのような働きをしているかについて調べた5)。「KEY WORDS」PAX6,転写因子,角膜上皮,角化
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