MY STUDY ABROAD 海外留学から学んだもの
第1回
春間 賢
1
1川崎医科大学・川崎医療福祉大学 特任教授
pp.62-65
発行日 2020年6月30日
Published Date 2020/6/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.16.01_0062-0065
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私は,いずれも長期ではないが,ドイツ連邦共和国,米国,英国と3ヵ国で海外留学を経験することができた。最初の留学先は,K教授から「頭を冷やして来い!」と言われ,ドイツ連邦共和国ニーダーザクセン州ハノーバー市にある,ハノーバー医科大学消化器科である。留学に至る諸事情は,本誌Vol.13 No.2(2017年12月発行),「私が挫折しそうになった経験」に記載しているので,詳細はそちらを参考にしていただきたい。簡潔に言うと,消化管の診断学の大御所S先生に,当時人生を懸けていた食道がんの増殖に関する研究をシンポジウムの壇上で罵倒され,人生に打ちひしがれての海外逃亡である。S先生となるべく接点のない,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の臨床と研究を求めてドイツに向かった。Schmidt教授のもとで,IBDの診療と研究を学ぶことになっていた。ところが,大学に行くと,なんとIBDグループは消滅しており,残されたG先生とブタの実験(IBDの実験モデル)の,暗い日々であった。しかしながら,臨床を学びたいとの熱意はSchmidt教授に通じ,わずか半年ではあったが,ニーダーザクセン州の医師免許の取得,内視鏡検査と治療,さらに,Wagner先生とのヘリコバクター・ピロリの臨床研究へと,方向こそ違ったが,打ちひしがれた留学は大きく飛躍した(図1,2)。
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