特集 CURRENT TOPICS 4th GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト
特別講演 H.pylori遺伝子解析による人類の起源について
山岡 吉生
1
1大分大学医学部環境・予防医学講座 教授/医学部長
pp.18-20
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.02_0018-0020
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H.pyloriの遺伝子型には地域性があり,多型が認められている。遺伝子型が異なれば,病原因子としての影響力にも差のあることが知られており,胃がん発症率の地域差の要因の1つとして研究が進んでいる。一方,もう1つの大きな課題として,H.pyloriの遺伝子型から民族の移動の歴史を明らかにし,人類の起源を探る研究も行われている。こちらはいわば人類学としてのH.pylori研究といえ,独自の成果をあげている。米国のDouglas Burgらのグループは2000年に発表した論文で「新大陸におけるH.pyloriは,ヨーロッパ人の征服者によって持ち込まれた」という説を提示した1)。それによれば,ほんの500年前まではアメリカ大陸にはH.pyloriは存在しなかったとしている。
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