今月の主題 わかりやすいゲノム・再生医療の基礎・現状・展望
ゲノム医療の現状
H. pyloriの遺伝子診断
杉山 敏郎
1
,
浅香 正博
1
1北海道大学大学院医学研究科消化器病態内科学
pp.408-410
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908606
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
H. pylori感染胃粘膜では炎症細胞浸潤を伴う組織学的胃炎があるが,症状を伴う疾患を発症するのはその一部である.
多様な病態はH. pylori菌株の多様性,感染宿主との相互作用などから検討されてきた.
ウレアーゼは本菌を最も特徴づける酵素であり,感染診断の代表的な標的遺伝子である.
vac A遺伝子の変異は感染の地理的分布によって決定ざれ,H. pyloriの進化過程を反映している.
H. pylori感染胃粘膜では著しい白血球浸潤があり,組織傷害の重要な機序である.
cag PAIは4型分泌機構を介し白血球活性化に中心的役割を演じているIL-8産生に関与する.
cag A遺伝子は間接的にcagPAIの存在を示唆するマーカー遺伝子と考えられる.
保険診療で可能な除菌法に含まれるクラリスロマイシン耐性菌が,年々増加している.本剤耐性菌の遺伝子診断も可能である.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.