特集 CURRENT TOPICS 食道がん研究の最前線
2 食道扁平上皮がんの発生機序
横山 顕礼
1
1京都大学医学部附属病院腫瘍内科 特定助教
pp.22-27
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.01_0022-0027
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がんは高齢者で多発するが,食道扁平上皮がんは,加齢のみならず,地域,人種,飲酒や喫煙の嗜好などの生活習慣とも深く関連しており,慢性的な発がん物質の曝露が発がんの要因となるフィールドがん化を示すがんである。正常食道上皮では,加齢とともに遺伝子変異が蓄積し,変異を有する細胞の割合,すなわちクローンサイズも大きくなる。さらに,高度の飲酒・喫煙により,加速的に遺伝子変異が蓄積する。加齢により正常食道上皮で獲得されるNOTCH1変異をはじめとした遺伝子変異は,食道がんでも認められるが,その頻度はがんよりも高く,正常食道上皮と食道がんのクローン性増殖では,共通したメカニズムが存在する一方で,それぞれに固有のメカニズムの存在があることが示唆された。
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