特集 CURRENT TOPICS 1 H. pylori除菌後の諸問題
8 H. pyloriの抗菌薬耐性の機序と影響
古田 隆久
1
1浜松医科大学臨床研究管理センター病院教授
pp.44-47
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.02_0044-0047
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H. pyloriの抗菌薬耐性は除菌の失敗とともに耐性を獲得する。特にわが国では,クラリスロマイシン(CAM)の一次耐性率が高いが,除菌の失敗に伴い耐性率が上昇する。メトロニダゾール(MNZ)の一次耐性率は低いが,二次除菌に失敗すると耐性率は高くなる。キノロンへの耐性は非常に高い。これら耐性化の機序には遺伝子変異がかかわっており,基本的には不可逆的である。三次除菌では,耐性の有無に考慮したレジメンが検討されている。「はじめに」H. pyloriの除菌療法を行った場合に,一定の確率で除菌に成功しない場合がある。除菌に成功しない場合の要因として,H. pyloriの抗菌薬への耐性がある。そのH. pyloriの抗菌薬耐性は,除菌療法の開始前から獲得していた場合もあるが,除菌の失敗とともにその頻度が高まっていく。すなわち,除菌の失敗は除菌後の治療を難渋化させる可能性もある。本稿では,H. pyloriの抗菌薬耐性の現状とその機序ついて概説する。
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