Glaucoma Q&A
Q1:眼圧と姿勢変動について教えてください/Q2:正常眼圧緑内障患者の夜間眼圧上昇と有効な眼圧下降薬について教えてください
原 岳
1
1医療法人圭明会原眼科病院院長
pp.68-75
発行日 2019年8月30日
Published Date 2019/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.58_0068-0075
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
通常,眼圧はアプラネーションでもノンコンタクトでも,座位(座った姿勢)で測定します.しかし,眼圧は姿勢によって同一個人でも変動し,座位よりも仰臥位(仰向けに寝た姿勢)のほうが高く,さらに頭低位(胴体よりも頭の位置が低い姿勢)ではより高くなり,倒立位(逆立ちした姿勢)ではさらに高くなります(図1).眼圧=房水産生量×流出抵抗+上強膜静脈圧という関係が成り立つので1),これらの要素の変動によって眼圧は変動します.姿勢によって眼圧が変動する理由は「眼と心臓の位置と重力との関係」に起因します.房水は心臓から頭部に送られてくる動脈血が毛様体で房水となり,前房に分泌されます.房水は前房を循環した後に主に隅角線維柱帯を通過し,シュレム管から上強膜静脈へ流れ静脈血となり,頚部を通過して心臓へ戻ります.座位の場合,眼は心臓よりも高い位置にあるため,眼から心臓へ流れる静脈は重力に従って川上の高い位置から川下の低い位置へ水が流れるように,スムーズに流れます.しかし,仰臥位になると眼と心臓の高さは同じになるので,座位に比べて静脈の流れは重力の恩恵を受けません.さらに頭低位になると,眼から心臓へ帰る静脈の流れは重力に逆らうため,流れが鬱滞します.そのため,上強膜静脈圧は座位<仰臥位<頭低位で高くなります(図2).
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.