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第4章 循環器系に作用する薬剤
[利尿薬]
バソプレシンV2受容体拮抗薬
今村 輝彦
1
1富山大学 第二内科
pp.693-697
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_693
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・心不全の診療において,「うっ血」に対する治療は患者の予後だけでなくQOLを改善させるうえでもきわめて重要である.
・過剰なループ利尿薬の使用は腎機能を悪化させたり,また神経体液性因子を活性化させるなどして心不全患者の予後を悪化させる懸念がある.
・tolvaptanを併用することで既存の利尿薬を減量でき,腎保護を達成しながら心不全の治療を行うことが可能になる.
・tolvaptanは脱水症の増悪,血圧低下,高ナトリウム血症をきたすことがあるために,投与開始後しばらくは入院管理下に置くことが望ましい.
・尿浸透圧などの指標を参考にすることでtolvaptanの有効性を事前に予測できるかもしれない.
・remote dielectric sensingなどの新しいデバイスを用いることでうっ血の定量評価が可能であり,tolvaptanを含めた利尿薬の投与量を調節していくことで心不全患者の予後をさらに改善できるかもしれない.
© Nankodo Co., Ltd., 2023