増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬
循環器薬
バソプレシンV2受容体拮抗薬
田中 寿一
1
1東京慈恵会医科大学循環器内科
pp.108-110
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225423
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Question & Answer
Q 現時点での日本における心不全治療薬としてのバソプレシンV2受容体拮抗薬の位置付けをどのように考えたらいいですか?
A バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン(サムスカ®)は,日本では心不全患者の体液貯留に対して認可され,現在,急性期をはじめとした体液貯留改善薬として幅広く使用されています.
上市,承認からほどなくして,2013年に日本循環器学会と日本心不全学会からトルバプタンの適正使用に関する声明が発表されましたが,以後,現在に至るまで体液貯留改善薬としての位置付けに変更はなく(2017年9月時点),本邦においてその使用は増加の一途をたどっています.一方,欧米では臨床試験の結果から心不全に対する認可は下りておらず,その適応は低Na血症などにとどまっているのが現状です.
さらに興味深いことに,米国では心不全の入院患者の約90%でループ利尿薬のフロセミド(ラシックス®)が使用されているのに対し,日本の最近のレジストリでは70%台にとどまっています.これは日本で広く使用されているANP製剤(カルペリチド)の使用が約60%にまで及んでいることに加え,近年,トルバプタンが新規に導入されたことが少なからず影響しているものと考えられます.
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