特集 DOHaD
精神疾患研究における危険因子研究の役割―DOHaD概念との関連から―
土屋 賢治
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1浜松医科大学子どものこころの発達研究センター特任准教授/大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
pp.65-71
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.04_0065-0071
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「Summary」精神疾患の病因研究における危険因子研究の役割,危険因子研究から得られた知見,危険因子研究の今後の課題について概説した。本稿では,代表的な精神疾患としての統合失調症および自閉スペクトラム症の危険因子研究を紹介した。統合失調症の危険因子研究は役割を終えつつある一方,この10数年に盛んとなってきた自閉スペクトラム症研究領域では危険因子研究の役割は依然として大きい。なぜなら,危険因子と疾患の関連を踏まえた生物学的研究が病因解明につながるからである。今日,胎生期のバルプロ酸曝露や父親の高年齢が自閉スペクトラム症発症リスクと関連することは確立した知見となっているほか,胎生期の抗うつ薬や農薬曝露が危険因子となりうるかについて関心が寄せられている。「精神疾患の研究史における疫学の役割とNeurodevelopmental hypothesis」精神疾患はしばしば“こころの病”と俗称される一方,中枢神経系の疾患である。代表的な精神疾患の1つである統合失調症を例にとっても,脳画像所見や神経発生に関連した遺伝学的所見を数多く指摘できる。「Key words」統合失調症,自閉スペクトラム症,危険因子
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