連載
グラビア・目で見る母児境界面の生理と病理 ー体外モデルにより得られるヒト着床の新知見ー
内田 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室講師
pp.4-7
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.01_0004-0007
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「Ⅰ.ヒト着床」1978年に世界初の体外受精児が誕生して以来,生殖補助医療技術は不妊症患者に多くの福音をもたらしてきた。排卵誘発法,受精法の発展に続いて,飛躍的な妊娠率向上への戦略は着床段階へと向かいつつある。倫理的問題は置くとして,着床前スクリーニングは受精卵側のアプローチとして有効かもしれないが,着床の不成功例の原因の3分の2は子宮内膜側にあるとする報告もある1)。子宮内腔という厚いベールの奥で行われる“神秘の”着床現象を解明すべき時がきている。「Ⅱ.ヒト着床体外モデルとは 1.ヒト着床体外モデル2)」着床の研究者を悩ませているのは,ヒトマテリアル入手における倫理的制約である。特に受精卵の入手には極めて高いハードルがある。げっ歯類を利用した報告もあるが,げっ歯類とヒトでは着床機構に大きな違いがある。そのために開発されたのが,ヒト細胞株を胚と子宮内膜モデルとして使用する着床体外アッセイ(in vitro implantation assay)である(図1)。
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