連載 Medical Scope
多発性硬化症の診断マーカー研究の進歩
田中 章景
1
1横浜市立大学大学院医学研究科神経内科学・脳卒中医学 教授
pp.67-70
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.11_0067-0070
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多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)では,診断に加え,再発や進行を判断する確実なマーカーが存在しないことが,臨床上の課題となっている。IgGインデックスやオリゴクローナルバンドは古くから,中枢神経炎症を反映する髄液マーカーとして使われてきた。ニューロフィラメントやGFAPは髄液・血液マーカーとして,重症度や疾患進行の予測因子となりうる可能性がある。また,マイクロRNAもMS病態を反映するマーカーとしての期待が高まっている。さらに,Nogo受容体アンタゴニストのLOTUSは,再発や進行を反映するマーカーとして有望である。しかし,これらのいずれもが感度,特異度の点で確実なマーカーとはいえず,さらなるマーカー開発が望まれる。
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