連載 一目でわかるクリニカルレシピ
健康寿命を脅かす脊椎疾患
長谷川 徹
1
1川崎医科大学脊椎・災害整形外科学教授
pp.60-63
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.01_0060-0063
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脊柱管狭窄症は50~80歳代に発症しやすく、女性より男性に多いといわれています。加齢により背骨のクッションの役割をする椎間板は弾力性を失い、変形して本来の役割を果たせなくなることで脊柱管が狭くなります。そのことにより、神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が起こります。高齢化が進むわが国において、その頻度はますます増加していくと考えられており、有病者数は600万人弱と推定されています。加齢の他にも発症する原因として、骨粗鬆症、日常生活で腰へ負担のかかりやすい動作や姿勢をとる、交通事故や喫煙、運動不足に関連した背骨の圧迫骨折後に発症することもあります。また、身体の柔軟性、運動不足、過労、体重の増加、精神的なストレスなども原因として考えられています。症状は神経の圧迫のされ方により異なりますが、一定の距離を歩くと足にしびれや痛みが生じ、休むことで再び歩けるようになります。他にも、初期には片足にしびれが現れ、進行に従い両足に症状が広がります。また、排尿障害を呈することもあります。予防には、40~50歳代からの生活習慣や運動習慣、正しい姿勢などが重要と考えられています。
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