特集 看護師として働くことをあきらめないために
看護を脅かす理不尽な暴力を見過ごしていませんか
徳永 賢市
1
1独立行政法人国立病院機構善通寺病院看護部
pp.243-246
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100109
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はじめに
筆者は,総合病院の精神科閉鎖病棟で「安全リンクナース」という役割を担っている.安全で安心できる職場環境と言い切れない場合が多いと感じている.
看護師の安全を脅かすものとして,感染,看護事故に加え,暴言,セクハラなどを含む暴力が挙げられる.しかし,感染管理,看護事故防止に比べて,看護師への暴力の対応はあまり取り組まれていないようだ.
暴力は,精神科病棟や救急外来に限らず,一般科の外来や病棟においても存在する.とくに一般病棟では,暴力への対策がほとんどなされていないため,暴力を受けたときの看護師の心身へのダメージは大きいようである.
長い間,看護師にとって患者の暴力について語ることはタブーとされてきた.暴力被害を誰も言い出せず,同じ悩みを他の施設も抱えているにもかかわらず,情報を共有化できないため,解決を困難にしているのではないか.暴力を受けた看護師は苦しんでいる.
暴力は看護を阻害し,無力化する.看護師がよい看護を提供するためには守られるべきではないだろうか.
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