連載 一目でわかるクリニカルレシピ
心不全患者の食事療法
根石 陽二
1
1川崎医科大学循環器内科学 准教授
pp.66-69
発行日 2018年12月20日
Published Date 2018/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.12_0066-0069
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心不全とは、『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』で「なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されています。現在の日本における死因別死亡総数の順位では、近年増加傾向にある心疾患が悪性新生物に次いで2番目に多く、心不全による死亡がその原因として最も多くなってきています。『Circulation Journal. 2008; 72』によると、2005年時点で総患者数は97万9千人であり、2020年までの5年ごとで9万人増加し2015年には約110万人であるとされています。また、今後は日本の総人口が減少する中で心不全患者の割合は増加し、その中でも65歳以上の高齢者心不全の増加が推測されています。心不全は、急性増悪を発症し繰り返し入院することで病態は悪くなり、生活レベルの低下をきたします。そのため、再入院をいかに予防するかが重要なことです。そのためには心不全に対する適正な薬物療法が重要であることはもちろんのこと、併発する高血圧・糖尿病・脂質異常症およびメタボリックシンドロームなどの生活習慣病で心臓に負担をかけないように日常の生活管理を行うことも心不全患者にとっては大切なことです。その中の1つとして栄養療法があります。心不全患者に対し食塩制限や水分制限を含めたさまざまな栄養療法の介入は心不全の増悪・再入院の予防につながる重要な治療の1つです。
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