特集 ACO:喘息とCOPDのオーバーラップ
病態と臨床的特徴 喘息からみたACO
長瀬 洋之
1
1帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学教授
pp.23-26
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.07_0023-0026
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喘息からみたasthma-COPD overlap(ACO)とは,もともと喘息として診断されているが,喫煙を継続するうちに固定性気流閉塞に至った症例を指すものと想定される。該当すると思われる症例を提示する。症例は47歳男性で,呼吸困難を主訴として来院した。既往歴として,小児期発症の喘息を有したが,20歳で寛解し無治療で経過してきた。喫煙歴は20本を20歳から47歳まで27年間で,現喫煙者である。強制呼気にて喘鳴を聴取した。胸部CTでは,喘息での気道リモデリングを示唆する気道壁の肥厚と,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の気腫病変を示唆する低信号域の双方を認めた。呼吸機能検査では,閉塞性換気障害を認め,肺拡散能(%DLCO)も低く,気腫病変の影響が考えられた。吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid;ICS)/長時間作用性吸入β2刺激薬(long acting β2 agonist;LABA)での治療後に1秒量は約600mL改善し,大きな可逆性を有する経過であったが,治療後も%1秒量は70%にとどまり,完全には可逆的ではなかった。「key words」asthma-COPD overlap(ACO),好中球,ステロイド抵抗性,喫煙
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