特集 胃癌:低侵襲治療と集学的治療の個別化へ向けて
胃癌の化学療法と分子標的治療
山田 康秀
1
1浜松医科大学臨床腫瘍学講座 教授
pp.39-45
発行日 2017年5月20日
Published Date 2017/5/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.05_0039-0045
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ジェネティックあるいはエピジェネティックな異常は胃癌の異なった臨床病理像に反映されることもあるが,組織型と直接的に関わる因子は同定されていない。胃癌でも免疫組織化学染色(IHC)により,ヒト上皮成長因子受容体(HER)ファミリーであるEGFR,HER2およびHER3の蛋白過剰発現がみられる1)。しかしながら,HERファミリーの遺伝子変異はまれであり,膜受容体に関連する下流のシグナル伝達分子の遺伝子変異もまれである。原発性胃癌の167検体を用いた研究によると,KRAS 遺伝子エクソン2(コドン12/13)の変異割合は5%,PIK3CA 遺伝子エクソン9の変異割合は5%,NRAS 遺伝子エクソン2(コドン12/13)の変異割合は1.8%であった2)。肺腺癌のEGFR 変異例やALK 融合遺伝子例に対する各チロシンキナーゼ阻害薬のような治療戦略が,胃癌では実現されていない。「key words」胃癌,化学療法,分子標的治療,ゲノム医療
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