特集 パーキンソン病診療update
特集にあたって
澤本 伸克
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授
pp.7-8
発行日 2015年7月20日
Published Date 2015/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.07_0007-0008
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パーキンソン病についての考えが,近年の研究の進歩によって大きく変わった。これまでパーキンソン病は,中脳黒質のドパミン神経細胞の変性によって無動,筋強剛,振戦,姿勢反射障害を特徴とする進行性の運動障害を呈する疾患として捉えられてきた。しかし現在では,嗅球と下位脳幹から中脳黒質,辺縁系を経て大脳新皮質に病理が進展するというBraak仮説に基づいて理解されるようになっている。嗅覚低下やREM期睡眠行動異常症が,パーキンソン病の運動症状の出現に先行することがあるが,この臨床的観察はBraak仮説でうまく説明できる。また,レビー小体がプリオンのように伝播するという考えが提案されているが,Braak仮説が提示するレビー病理の進展様式とよく一致することから注目を浴びている。
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