特集 抗血栓療法の最近の動向
特集にあたって
後藤 信哉
1
1東海大学医学部内科学系循環器内科学教授
pp.7-9
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.05_0007-0009
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「Ⅰ.抗血栓療法は諸刃の剣」高血圧,脂質異常症,糖尿病などは検査値の異常があれば無症状でも病気と認識される。降圧薬,コレステロール低下薬,抗糖尿病薬などの薬剤により異常な検査値を正常化できる。無症状であっても薬剤介入の効果は検査値により確認できる。薬剤介入の効果を客観的に評価できることが高血圧,脂質異常症,糖尿病の治療が抗血栓薬よりも簡便な理由である。われわれが抗凝固,抗血小板薬を使用する症例は,凝固系,血小板機能の異常な症例ではない。健常人に無理やり介入し,場合によっては重篤な出血合併症という副作用を惹起するのが抗凝固,抗血小板療法である1)。抗凝固,抗血小板療法により心筋梗塞,脳梗塞などの血栓イベントを予防すると理解されているが,有効性は実感できない(自分が認識できる事実は自らが服薬していること,自らが心筋梗塞などのイベントを起こさなかったことのみである)。有効性はバーチャル,副作用はリアルというのが抗凝固,抗血小板療法の特徴である。
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