特集 小児の治療方針
3 感染症
総 論
輸入感染症
菅沼 明彦
1
1新古賀病院総合診療科
pp.136-142
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.34433/pp.0000000184
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マラリアは,蚊によって媒介され,突然の発熱で発症する.特に熱帯熱マラリアの感染例では重症化をまねく.診断の基本は,血液塗抹標本によるマラリア原虫の検出である.治療にはリアメット®配合錠などが用いられるが,体重による調整が必要となる.マラリア患者を診断した場合には,診療経験のある医療機関への相談,転院が考慮される.
デング熱は蚊が媒介する感染症であり,熱帯から亜熱帯地域に広く流行している.発熱を主症状とする輸入感染症として頻度の高い疾患である.潜伏期間は短く帰国後まもなく発症することが多く,白血球減少,血小板減少を呈する.診断には迅速診断キットなどが使用可能である.特異的治療はなく,適切な対症療法を実施する.
コレラは,突然出現する大量の水様便を初発症状とし,急速に重度の脱水,腎不全,電解質・酸塩基異常へ進行する.治療は,重症度の評価に基づく水・電解質管理を中心とした全身管理が重要であり,発症早期からの治療介入により予後の改善が得られる.
細菌性赤痢では,腹痛,発熱,血便,テネスムスなどの症状が認められる.赤痢菌はShigella sonnei菌による感染例が多く認められる.赤痢菌は少量でも感染が成立するため,感染力が強く,二次感染,集団発生も報告されている.
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