特集 もう「不定愁訴」なんて言わない!―他科に学ぶ更年期外来診療のポイント―
Ⅲ.精神・神経
5.不眠
矢走 円
1
,
村岡 寛之
1,2
,
稲田 健
1,2
1北里大学病院精神神経科
2北里大学医学部精神科学
キーワード:
更年期障害
,
睡眠
,
うつ
Keyword:
更年期障害
,
睡眠
,
うつ
pp.985-991
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000001327
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要旨
更年期障害は種々の症状を呈する.不眠は更年期障害の一症状であり,日常診療で対応する場面の多い症状である.更年期障害では不眠が単独で出現することは少なく,血管運動神経症状やほかの身体症状とともに現れるのが特徴である.診断には詳細な問診と睡眠日誌の活用が重要で,2次性不眠症,甲状腺機能異常を含む内科疾患,うつ病など様々な疾患との鑑別が必要である.治療は非薬物療法(睡眠衛生指導,運動療法,認知行動療法)を基本とし,必要に応じてホルモン補充療法,抗うつ薬,睡眠薬などの薬物療法を組み合わせる.薬物療法の有用性を認める一方で,ベンゾジアゼピン系薬剤の使用に関しては,依存性等の問題があり,漫然とした使用に注意が必要である.症状が重症な場合や自殺リスクが高い場合は専門医への紹介を検討する必要がある.

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